インプラントの示した条件
最近、遺伝子とかゲノムなどの話題がよく出るが、こういった技術を使ってつくられた最初の薬剤のひとつがこのエリスロポエチン製剤(同E、E)なのだ。
ただし、これらの薬剤は遺伝子組み換えという高度な技術を使ってつくられているために、値段も高い。
このE、Eは、一般に使われる並の6000単位で1万1000円強、その半量の3000単位で5700円である。
この薬剤は週に2、3回の頻度で注射が必要だ。
状況によってさまざまだが、人工透析には1ヵ月で数10万の費用がかかる。
しかし特殊な疾患であり、なかなか通常の仕事を続けることが難しいといったこともあり、患者の自己負担は少ない。
痴呆今後、高齢化社会を迎え、痴呆は人類最大の課題といってもいいすぎではないかもしれない。
この痴呆には大きく分けて2種類のタイプがある。
ひとつは、アルツハイマー型痴呆である。
こちらは、さまざまな原因が考えられているが、いまだに原因は特定できない。
もうひとつは脳血管性痴呆というものだ。
こちらは、脳血管が詰まってしまう脳梗塞という病気が原因で起きる。
ただ、手足が麻陣するまでに至るような大きな梗塞でなくても起こることが特徴だ。
薬剤も含め効果がある治療法はなかなかみつからなかった。
しかし、最近では少し様子が変わってきた。
アルツハイマー病の原因のひとつであるアセチルコリンの減少に対する薬剤が開発されたからだ。
これは、ドネペジル(同A)という薬剤で、アセチルコリンを分解する酵素を阻害することで、アセチルコリンの減少を防ぎ、アルツハイマー病に効果があることが示された。
この薬剤は日本の製薬会社であるEが開発したものだが、全世界で爆発的に使用されている。
日本でも使用は可能で、ちなみに1錠が504円である。
ただ少し前だが、イギリスでは、このドネペジルという薬剤が高額なので、一般的にはあまり使われない、といった話があった。
これなども考えさせられる話である。
薬剤以外の治療あるいは予防についても進歩がみられるようになってきた。
そのひとつに、集団でいると痴呆が進行しにくいということがある。
この分野の先進国はスウェーデンなどの北欧諸国である。
この場合の費用の大半は、建設費ということになり、たとえば、特別養護老人ホームなどを建設するには10億円以上の費用がかかる。
痴呆は、非常に広範な病気なので、直接費用を考えることは難しい。
そこで、こんな例を考えてみたい。
痴呆患者が寝たきりになる大きな原因は、転倒による骨折、なかでも大腿骨頚部骨折が原因だ。
そこで、人工骨頭置換術について、日本(愛知県)とスウェーデンの比較を紹介しよう。
まず入院期間は、日本が平均54日、スウェーデンは2日である。
スウェーデンは入院費が平均約63万円、日本が平均148万円である。
スウェーデン、日本とも最も大きなものは入院費で、ついで手術費、材料費(人工骨頭)である。
いま転倒の問題を考えたが、実は、痴呆に対応するには薬剤のみならず、さまざまなサポートが必要になる。
日本の高齢化は、諸外国に比べて急速であるということに特徴がある。
だから、こういったサポートシステムが追いついていない。
2002年3月には認定者が298万人を超えた介護保険も、痴呆に関係が大きい。
実際に介護を受けている人の多くが、痴呆を持っている。
介護保険は2000年4月に、介護というものを行政の行う措置から権利や選択がはっきりする保険として創設された。
そのために、かかるコストがかなり明確になっている。
介護保険でサービスを受けたときは、原則としてかかった費用の一割を負担することになる。
また、施設に入った場合や日帰りで通うサービスを利用する場合は、費用の一割の他に、食費などを負担することになっている。
がん日本では、がんによる死亡が一番多い。
ついに、がんによる死亡者が年間30万人を超えた。
人口10万人について年間230人くらいががんで亡くなるのだから、われわれの周りでも「がんで亡くなった」という話はよく聞く。
実は、同じがんといっても怖いがんと、比較的怖くないがんに分かれてきた。
怖くないがんというのは、早期に発見すればがん自体を除去することが可能ながん、いいかえれば5年生存率が高いがんである。
最も新しい厚生労働省の2000年のデータによると、死亡原因として肺がんによるものが5.4万人、胃がんが5.1万人、大腸がんが3.6万人、肝臓がんが3.4万人である。
性別では、男性の場合肺がんがナンバーワン、女性は胃がんがナンバーワンであるが、肝臓がん、大腸がんも死亡例が増加中である。
がんの治療は大きく分けて、手術、放射線治療、内科的治療(薬剤、温熱療法など)の3つに分けられる。
このうち手術については施設によって手術例数にばらつきがある。
この調査では、例数が多い病院の方が手術がうまいはずなので、そちらを受診するように勧めている。
胃がんなどでは、医療の質が高い医療機関の方が死亡率が低く、入院期間も短く済むために医療費が安くなるという調査報告もある。
ご存じのように、日本では移植が進んでいるとはいいがたい。
世界では現在、年間移植症例は、腎移植約3万例(累積約10万例)、肝移植約1万例(累積約10万例)、心臓移植約400例(累積約6万例)、脚移植(脚腎同時を含む)約2000例(累積約1万5000例)、肺移植約1500例(累積約1万5000例)、小腸移植と膵移植がそれぞれ30〜50例(累積はそれぞれ約200例)となっている。
一方、移植後の長期生存記録をみると、腎移植では42年、肝移植31年、心臓移植24年、脚移植12年、肺移植15年(心肺移植18年)、小腸移植12年、造血幹細胞移植14年、と初期の症例にも長期生存例があることを示している。
ただコストが飛び切り高い。
たとえば、UCLA(カリフォルニア州立大学、ロサンゼルス校)付属病院というアメリカ西海岸有数の病院で心臓移植を行おうとすると、約32万ドルのお金が必要という。
また日本でも肺移植を受け、2000万円くらいかかった例があるという。
これはやむを得ないことかもしれないが、極めて高額であるといわざるを得ない。
このようにとても高額な医療には、1984年の健康保険法改正で発足した特定療養費制度のなかの高度先進医療という考え方が適用になる。
これは前で詳細に述べたが、質的・難的に高水準の医療基盤を有する医療機関において実施される場合に、その安全性および有効性が確立されているが、その実施についてはいまだ一般に普及するには至っていないものであり、先進医療が一般に普及し、保険導入されるまでの間、本制度の対象とするものだ(承認申請に基づき個別に判断)。
上述の疾患を、特定の病院で治療した場合には、混合診療の適用になる。
たとえば、総医療没が100万円である医療を受ける場合を考えてみよう。
その場合に、現在の健康保険適用の額、つまり入院費とか一般的な検査や薬剤代が60万円であったとすれば、その部分は健康保険が適用される(一部負担あり)。
そして、それ以外の40万円の部分が全額自費になる。
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